かわいい服やメイク、小物が大好きな女性でも、20代中盤~終盤に入ると、そのままではいられませんよね。そうしたすべての女性が次のスタイルを模索しなければいけなくなります。
そのときが来たらどうするか?コンサバ?大人かわいい系?どれもなんかしっくり来ないと思っている方。
心のどこかで、「かわいい」を諦めたくないと思っている方。 そんな方に選択肢の一つとしておすすめしたいのが、60数年前、ブリジット・バルドー、ジェーン・バーキンらから始まり、今もフランス・パリジェンヌの中に生きている「フレンチロリータ」というスタイルです。
「名前が怪しい」……と思うかもしれません笑
でも大丈夫。ゴスロリとは関係ありません。 たとえ白シャツにジーンズでもフレンチロリータです。
コケティッシュ(色っぽい女性的な魅力)さに満ちていて、 少女のようにかわいらしくて自由なのに、 芯の強い女性らしさに溢れていて、かっこいい。
そんな、一見矛盾するような要素を矛盾なくすべて持ち合わせているのが、パリジェンヌの中でも「フレンチロリータ」と呼ばれているスタイルです。 ハードル上げすぎ??
いいえ、全然大丈夫。これから紹介するパリジェンヌ達を見ていただければ、まったく誇張してなかったことが分かっていただけると思います!
それでは、本編に参ります。
フレンチロリータ、すべての始まりはブリジット・バルドーから
伝説の女優、ブリジット・バルドーの登場
フレンチロリータという概念自体、このブリジット・バルドーがいなければ生まれることはなかったかもしれません。 ファッション誌Elleでモデルをしていたバルドーは1956年、22歳のとき映画『素直な悪女』で、自由奔放に何人もの男達を翻弄する小悪魔を演じて大ブレイクしました。
もっとも、小悪魔といっても、それはよくある小手先のモテテクニックなんかではなく、ただ自分の心に素直に愛を追いかけ続けた結果、何人もの男を滅ぼす(滅ぼしかける)という、ある意味「ナチュラルにヤバい女性」だったのですが…。
そして、プライベートのバルドーはというと、この映画以上に奔放な恋愛遍歴を持っていました。結婚とフリンと離婚と再婚の繰り返し…。 現代なら大炎上確定ですが、それでも男たちがバルドーを許したのはたぶん、変に清楚ぶるんじゃなくてあっけらかんとしてて、バルドーの考え方や行動にウソがなく全部が本気の愛だったからでしょう(それはそれで恐ろしいですが)。
バルドーはこんな名言を残していますよ
「一人で眠るなんてありえないし、考えたこともなかったわ」
(フリン関係にあった作曲家ゲンズブールに向かって)「私に、世界一美しいラブソングを書いてちょうだい」
本当に愛に生きた人だったんですね(注:まだご健在ですが、芸能界は引退しているので)!
これは、当時としては革命的に新しい女性像でした。 だって当時のフランスは、自由の国といっても戦後直後でまだ抑圧された社会だったし、少し前まで「女性は足首さえも出しちゃダメ」とか、「コルセットつけなきゃダメ」なんて言われていて、そういう世代の人たちがまだ健在だった時代なんですもん
さて、バルドーの生き方が良いか悪いかはともかく、これは当時の社会に大きな影響を与えました。 バルドーは、それまで社会に意識されていなかった「魅力的な女性のイメージ」の一つのジャンルを開拓しました。
・少女期の女性ようなかわいさ、危なっかしさ、ふてぶてしさ
・無防備で開放的な、大胆な女性
・自分の本能に忠実に生きる
ちなみに、バルドーは特に芸術家に愛される性質だったらしく、なんとあのピカソとも仲が良かったそうです。
↑左のご老人が「あの」ピカソです(!)
このバルドーがきっかけになって、その後の'60年代フランスでは、少女的な魅力を持った女優・歌手が多くプロデュースされていきます。では次は、バルドーの次のフレンチアイコン、ジェーン・バーキンのご紹介です。 半世紀以上前の女性だとは思えないと思いますよ!
現代でも通用する、ジェーン・バーキンのカッコよくてかわいいファッション
この写真は、1960年代に撮られたものです。私が最初にジェーン・バーキンの写真を見たとき、「キレイな人だな~、インスタやってるかな?」と思って調べたものです。 で、あっ、50年前…と気づいて唖然…。 50年前にインスタなんてあるわけないですよね笑 ただ、それって現代の写真だと勘違いしてしまうほどタイムレス(古くならない、色あせない)な存在だということですよね。 ジェーンは名実ともにフレンチロリータの象徴だと言われています。 世界的な作曲家セルジュ・ゲンズブールと結婚(事実婚)し、セルジュがプロデュースしたフレンチロリータ系の歌手の代表的な存在となりました。
その他にも、
・時代を超えるシンプルで洗練されたファッション
・パリジェンヌの気丈さと少女のような愛らしさを併せ持った存在
・女性としての大胆さと、引くところは引くという「いい女」のバランス感覚
といったように、彼女の魅力を語りだしたらキリがないくらいです。2019年現在でも、多くのパリジェンヌがジェーンをリスペクトし、その髪型やファッションをマネしています。
というか、ジェーンのコーディネートスタイルがあまりにも浸透したので、後の世代の人たちはジェーンの影響だと知らずにマネしているとさえ言えます。 その代表的なコーディネートがこちら。
白シャツ・デニム
本当にシンプルで美しい!ジェーンはシンプルで楽なスタイルが大好きで、白T・デニム・コンバースがお気に入りだったそうです。 これが当時のパリジェンヌに受け入れられて以来、今日までパリジェンヌの代表的なスタイルの一つになっています。 白Tが好きだと言っても、ファッションに妥協した結果の白Tとはわけが違います。 写真を見ると、やはり素材のしっかりしたものが選ばれていますし、
首元が広めのものや
袖をまくってアクセントをつけたりしています。
上の写真のように、ジェーンは白シャツデニムにバレエシューズを合わせるコーデもよくしていますね。 バレエシューズもパリジェンヌの代表的なコーディネートアイテムの一つです。 ジェーンやブリジット・バルドーが愛した、世界で最も有名なバレエシューズブランドが「Repetto(レペット)」です。
ちなみに、バーキンが白シャツジーンズのコーディネートのときほぼ一緒に持ち歩いていたのが、この「かごバッグ」です。
ジェーンは、大きなかごバッグに何でも無造作に詰め込むのが好きだったみたいですね!
隣はパートナーのゲンズブール。
ジェーンのかごバッグといえば、こんな伝説があります。 飛行機に乗るときも普通にこのかごバッグを持ち歩いていたジェーン。そしてあるとき、機内でかごバッグをガサゴソしていると、隣に座っていたエルメス社の社長(!)が、「君に、何でも入れられる大きなバッグを作ってあげるよ」と言って実際に作られたのがエルメスの「バーキン」なのです。
……… ………0が1個か2個違わない??100万円~1300万円って…。 忘れようっと…。 ジェーンが普段使っていたようなかごバッグを探すならこちら
ああ、落ち着く… 他にもジェーンはこんなスタイルを流行させました。
マリンボーダー・デニム・バレエシューズ
今や、「ああ、フランスっぽいなあ」という感じのマリンボーダ―にバレエシューズですが、これも当時ジェーン・バーキンが流行させてからの伝統といえるスタイルです。
ジェーン以前にはボーダーは流行ってなかったの?
ボーダーの元々の起源は、船乗りが防寒用の下着として着用していた青と白のボーダーTシャツでした。 フランス海軍はこれに着目し、1853年に制服として採用しました。船上の海兵が海に転落した際に目立つためでした。 色はフランス国旗のトリコロールカラーからできていて、だから「青×白」や「赤×白」が多いんですね。 フランスっぽいどころか、フランスの色そのものでしたね。 1920年代になると南仏のリゾートウェアとして注目され、以来ピカソら著名人も愛用するようになって広まっていきました。 これをショービジネスの世界から大々的に流行させたのはジェーンが最初ではないでしょうか。
マリンボーダ―の代表的ブランド、セントジェームズ
フランスのマリンボーダ―の代表的なブランド、セントジェームズをご紹介します! 1889年にフランス北部ノルマンディーで誕生したセントジェームズは、マリンボーダ―自体の歴史とほぼ同い年という超老舗です。
キレイめなトップスを着崩してデニムと合わせる
白いフェミニンなフリルブラウスの胸元を開けて、デニムに合わせてしまうのがジェーン・バーキン。このスタイルは本当に王道なパリジェンヌスタイルで、一目で「あ、フランスだ」って分かりますよね。
あ、開けすぎィ!
フランスの女性のインスタグラムを見ても、キレイめなトップスを着崩してデニムと合わせるのは今現在でもかなりポピュラーです。フランスのキレカジスタイルの王道といった感じでしょうか。
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↑現代パリジェンヌの一人、レナ・シモンヌ
無造作に自然に垂らした前髪
フランス人やアメリカ人女性の前髪に対する考え方は、
「日本と海外の前髪に対するスタンスの違い / フランス人みたいな前髪になる方法!」
で書きましたが、フランス人女性は欧米には珍しく、大人の女性でも前髪を作る習慣があります。 ジェーンの前髪はかわいいだけではなく、アンニュイな魅力も放っていますね!
「前髪ゼロの国」ことオーストラリアに留学していた前髪好きの私としては、欧米の前髪大国フランスを発見できたことはかなり嬉しかったのですが、前髪は前髪でも、それは日本のものとはだいぶスタンスが違いました。
パリジェンヌの前髪に対する考え方といえば、
・前髪は少女的なもの。
・キメすぎないゆるウェーブで自然に。
・手間をかけないeffortless(手抜き)スタイル。間違ってもアイロンなんて使わない
といった感じ。
2019年現在、フランスのファッションインフルエンサーの多くが日常的に前髪アリを選択しているというのは面白いですね。これもブリジット・バルドーやジェーンから始まった少女的な外見を打ち出したフレンチロリータというスタイルが、社会に浸透して受け継がれてきた結果ではないかと思います!
ジェーン・バーキンのような前髪を作る方法!
私は日本女性の前髪は大好きなので、前髪は日本のスタイルで、パリジェンヌのファッションのエッセンスを取り入れるのがいいのではないかと思いますが、髪質や好みによっては、ジェーンのような髪形にしたい!という人もいるのでは、と思い、セットのワンポイントアドバイスを書いておきます。
・もともとが直毛の人には難しい。ニュアンスパーマをかけているような人は挑戦しやすいかも
・スタイリングは、洗った後にヘアオイルをつけ、もみ込みながら50%程度乾かす。あとは自然乾燥で風合いを出す
・自然乾燥の際、後ろ髪はゆるくまとめておくと思いがけないウェーブが出ることがある。自分の髪質次第なのでトライ&エラーが必要。
より詳しい、パリジェンヌのような前髪を作る方法はこちらの記事で紹介しています。 ⇒「日本と海外の前髪に対するスタンスの違い / フランス人みたいな前髪になる方法!」
最後は、現代のパリジェンヌを紹介したいと思います!
現代のパリジェンヌ達
最後は、現代のパリジェンヌってじゃあどうなってるの?誰をフォローすりゃいいの?という方のために、現役バリバリの若きパリジェンヌ達をご紹介しましょう。彼女たちをハリウッドのセレブの方々と比べると、やはり髪形やメイクにどこか少女的なナチュラルな魅力を残しているのが分かると思います。
それと、パリジェンヌ皆に共通しているのは、「何を着るか」で自分を語っていないところ。 日本人は「何を着ているから安心」とか、「何々は今期マスト」とか考えがちですが、パリジェンヌは、服は全て「自分に似合っていて、自分そのものを一番輝かせるものであればいい」のであって、「主役は自分自身」なんです。
だから、流行に捉われず自分が一番綺麗に見える服を選ぶ。それがパリジェンヌの溢れ出る自信や、自信に基づく女性としての輝きに繋がっているんじゃないかなと思います。
ジャンヌ・ダマス
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現代パリジェンヌの筆頭ことジャンヌ姐さんです。インスタフォロワーは120万人(2019)! 口紅は指で荒々しく塗るというイケメン! そして、ジェーン・バーキン達先人へのリスペクトも常に忘れない男前。
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ジャンヌ姐さんは、ファッションを考える上で、特にファッションに悩んでいる人にとって根本的に大事なことを語ってくれています。
「本当のパリジェンヌは、自分に本当に似合うものを知っているから、いちいちトレンドに左右される必要はないの。 自分の確立したスタイルを持っているから、新しいトレンドが来たらそのアイテムを買おう、っていうパリジェンヌはあまりいないんじゃないかな」
ルー・ドワイヨン
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映画監督ジャック・ドワイヨンと再婚したジェーン・バーキンとの間に生まれたのがルー・ドワイヨンです。 超サラブレッドの名に恥じず、歌手・ファッションデザイナー・画家など、マルチな才能を発揮しています。 30代後半になっても美しい彼女ですが、この後どのように美しく(もしくは豊かに)歳を重ねていくのか、参考にする価値のある方だと思います。
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クララ・ルチアーニ
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1992年生まれ。フレンチポップス界の新星。 フランソワーズ・アルディやジェーン・バーキンに憧れているという通り、髪形も二人に似ているものがあります。 また、ジャケットスタイルが多く、ガーリーでかわいい着こなしからシックなもの、レトロ調のものまで幅広く参考になります!
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ティナ・クナキー
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1997年生まれの22歳。身長174cm。インスタフォロワーは100万人(2019)。 大きく広がったカーリーヘアがトレードマークの、将来有望なスーパーモデルです。 30歳年上の俳優と結婚したことでも話題になりました(!)。インスタにはとても仲良さそうな写真がたくさんです。 インスタでは私服の写真はあまりない(ほとんど撮影衣装か水着か裸)のですが、たまに出る私服は驚くほどバキバキのストリート系でした!笑
ルイーズ・フォラン
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23歳、身長173㎝。長身のモデルで、こちらもジェーンの面影があるので「ヤング・ジェーンバーキン」と呼ばれています。ジェーンの影響すごすぎ…。 インスタを見ると、パリジェンヌの中でも特に力の抜けたゆるい投稿が多いです。ふざけた投稿も多く、すごく自然体で面白いです。 と思ったらスーパーモデルの本気を出してきてドキッとさせられたり、見ていて飽きないモデルさんです。
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レナ・シモンヌ
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クールな顔立ちのモデルさんです。彫刻のような、無機質な美しさがありますね! セクシーなドレスやかわいいレトロ調のトップスを着ることが多いようですが、彼女は完全に着こなしていますね。 パリジェンヌは、「自分のレベルに見合わない服は着ない」という話を聞いたことがあります。自分の収入や容姿に見合わない服は着てもしょうがないと(卑屈な意味ではなく、自分自身にウソはつかないという意味だったかな)。レナ・シモンヌはまさに自分の着る服を制していますね。
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と、こんな感じでブリジット・バルドー、ジェーン・バーキンから続く、パリジェンヌのフレンチロリータの系譜を紹介してきました。 日本ではなかなか見られない、強くてカッコよくてかわいい、そんなスタイルを探すヒントになれば幸いです。 ここまでお読みいただきありがとうございました!